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学園祭だけ晴れた日 ― インドネシアの不思議な雨止め文化

2月に入り、今の時期のインドネシアは雨季真っ盛りです。
バケツをひっくり返したような激しいスコールが毎日降り、楽しみにしていたイベントが雨で休止になってしまうこともよくあります。せっかく準備した計画が台無しになると、本当に残念で仕方がないですよね。

そんな時、日本では「てるてる坊主」を作って晴れを祈るのが定番ですが、この「てるてる坊主」がどこから来たのか、皆さんはご存知でしょうか?

実は、そのルーツは中国の「掃晴娘(そうせいじょう)」という女の子をかたどった切り紙にあると言われています。日本に伝わってから、いつの間にか「お坊さん」の姿に変わっていきました。
一説には、大雨を止める祈祷に失敗したお坊さんがお殿様に処罰されてしまった…という、ちょっと切ない昔話が由来だという話もあります。可愛い見た目とは裏腹に、昔の人にとっては「命がけで願うほど雨は切実な問題だった」ということなのかもしれません。

ところ変わって、インドネシアでは、人形ではなく「プロ」を頼ります。
それが、Pawang Hujan(パワン・フジャン)。最近ではよく「レインストッパー」という呼び名で親しまれています。

彼らはシャーマンや魔法使いのような存在で、主催者から依頼を受けて雨を防ぐ儀式を行います。レインストッパーのやり方はインドネシアに昔から伝わるユニークな「雨止め」の方法がいろいろあるんです。

例えば
・唐辛子と赤タマネギ、ニンニクの串刺し: 赤い唐辛子とタマネギ、ニンニクを串に刺して、会場の隅に立てたりぶら下げたりします。これが雨雲を追い払う「アンテナ」になると信じられています。

・ほうきを逆さまに立てる: ほうき(Lidiと呼ばれるヤシの葉の芯のほうき)を空に向かって突き刺すように立てるのも伝統的な方法です。

・下着を屋根に投げる: これが一番驚かれるかもしれませんが、下着を裏返しにして乾かしたり、さらには屋根の上に放り投げたりすることで、雨を遠ざけるという風習もあります。

・塩を撒く: 会場の周りに塩を撒くのも、結界を張るような意味合いでよく行われます。

このレインストッパーが世界的に注目されたのが、2022年にインドネシアで開催されたバイクレース「MotoGP」でした。
激しい豪雨でレース開始が危ぶまれた際、一人の女性レインストッパーがコース上に現れました。彼女が裸足で歩きながら不思議な器を叩いて祈祷する様子が世界中に放送され、「現代のサーキットに魔法使いがいる!」と大きな話題になったんです。そして不思議なことに、儀式のあとに雨が弱まり、無事にレースが開催されました。

「そんなの偶然じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。でも、実は私も不思議な体験をしています。

私が大学生だった頃、学園祭で実行委員の人がレインストッパーを依頼したことがありました。
その日はひどい悪天候。市内はどこもかしこも土砂降りだったのに、なんと「学園祭の会場だけ」一滴も雨が降らなかったんです!周囲の街が真っ暗な雨雲に包まれている中、自分たちの会場の上だけぽっかりと空いているようなあの奇跡的な光景は、今でも忘れられません。

科学では説明できないかもしれませんが、インドネシアには今もこうした神秘的な文化が息づいています。

記者:東海人材 インドネシア通訳者 ぜん

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